高雄市体育会合気道委員会
1.道場までの道のり
成功大学合気道部の部員に「高雄にある中山大学には合気道部があるはずだから是非訪問してみたらいいですよ」と教えられたので、翌日高雄まで移動し中山大学に行く事にしました。地図を見てみると中山大学は台湾海峡に面しており高雄駅からは相当離れています。そこで駅前のバスターミナルから中山大学近くの西子湾行きのバスに乗ることにしました。
バスは小さな港に着きました。辺りを見渡してみても港と山があるだけで大学があるようには見えません。不思議に思いバス停近くにあったコンビニに入って、店員に「中山大学はどこですか?」と聞くと「そこ」とすぐ近くを指差しました。
しかし、幾ら歩き回ってみてもどこにも大学の影すらみえません。狐につままれたような気分になりながら、辺りをぐるぐると歩き回っていると、さっきのコンビニの左に小さな長いトンネルがあることに気がつきました。なんと、この小さな長いトンネルが中山大学に入る入口だったのです。
トンネルを抜けると、大きな大学が広がっていました。レンガ造りの大きな建物がいくつも並び、大学の敷地内にはビーチまでありました。成功大学の時と同じように部室の集まっている建物を探すべく敷地内を歩いていくと、丘の中腹にそれらしい建物を見つけることができました。さっそく中に入って合気道部の名前を探し歩いてみましたが、全く見つけることができません。
その時、国際交流を盛んにやっているアイセックの部室を見つけたので、ここの部員なら英語が話せるに違いないと、中に入って尋ねてみましたが、彼らも合気道部のことは知らないということでした。
ここまで来ると縁がないのに違いありません。方針変更して持って来た道着を学生寮で洗濯することにしました。台湾に来て既に二ヶ所で練習をしていましたが、まだ一度も道着を洗っておらずとても臭くなってしまっていたからです。アメリカの大学では、付属する学生寮に必ず洗濯機と乾燥機があったから、こっちでも同じではないかと推測し、大学寮まで歩いていって中をくまなく探してみました。
しかし、結局洗濯機も乾燥機も見つけることができませんでした。この日は全くの無駄足となりました。ただ幸いホテルの近くで洗濯屋を見つけることができ、道着の洗濯問題は解決することができましたが。
道着の準備ができれば後は道場を探すだけです。ネット検索で得た情報では、高雄には、高雄市中華合気道武術総会と高雄市体育会合気道委員会という二つの道場があるはずでした。武術総会という名前はどうも胡散臭そうなので、体育会を訪問することにしました。一般の練習日は月・水・金、場所は大仁路にある高雄市体育活動中心三階です。
2.高雄市体育会合気道委員会のようす
高雄市体育活動中心には練習時間よりも早くついたために、まだ電気も付いておらず、誰も来ていませんでした。三階には確かに高雄市合気道委員会の看板があったので、そこで待っていると、最初の生徒がやってきました。英語で話し掛けると初めは胡散臭そうに見られましたが、筆談で日本人で旅行に来ていること、一緒に練習をさせて欲しいことを説明すると、快く承諾してくれました。
この道場の指導者は潘清錄先生六段。恰幅のいいしかしやさしい感じの先生でした。道場の中を見渡すと、柱に李清楠先生の写真が飾ってあるのに気がつきました。どうやら台湾に来て初めて大阪合気会と関わりのある道場に訪問できたようです。
道場は夜にもかかわらずとても蒸し暑く、じっとしているだけで汗がダラダラと流れてきます。練習では袴をはいている生徒が次々と私の相手をしてくれました。日本から来たということで、力量を見てやろうということもあるのでしょう。普段よりも力を使わず流れるように技を掛けて力の消耗を少なくしようとしたのですが、旅の疲れもあり休み休みでないと練習についていけません。最後には、すっかり息があがってしまいました。皆さんの技はとてもスムーズで、スタイルは大阪合気会に似ているというより、東京本部に似ているようでした。
練習終了後、夕食に連れて行っていただきました。料理の材料を選んで料理をしてもらうスタイルの台湾料理の店です。英語ができる学生がいたので通訳してもらいながら合気道談義を楽しむことができました。